こんなん見たよ

〜 さよならニッポン− GOODBYE JAPAN− 【映画】 〜


監督  堤幸彦
出演  緒方拳、藤真利子、織本順吉
制作  1995年


古麻呂歩

 SMAPが大使館に亡命するというパロディーを演じ、 世間様から叩かれたのはまだ記憶にあるだろうか? その映像自体はまずかったかもしれないが、 彼らの意図したところは、あながち馬鹿にしたものではないと思う。 番組は、日本という国に絶望して外国に逃げていくアイドルに、頑張っている日本人を紹介し、 日本の良さを分かってもらおうという趣旨だった。 日本はダメか?……この問いに簡単に答えられるほど僕は賢くない。 しかし、多くの日本人が閉塞感を抱いていることは間違いないと思う。

 このお話は日本最南端の離島、赤尾根古(アカオネコ)島が舞台。 赤尾根古島は日本の沖縄県に属する村だった。 ある日、大型台風が沖縄を襲い、村にも甚大な被害を及ぼす。 村長の大瀬利(緒方拳)は県や国の援助を求めるのだが、離島のことなど後回し。 台風の被害で困っている村民を前に、政府の対応は非常に悪かった。 島では死者が出るなど被害甚大。にもかかわらず、県庁は大臣がやってくるというので大騒ぎ。 赤尾根古島の災害救助は後回しにされていったのだ。

 村長は呟く「独立」と。

 赤尾根古村改め、赤尾根古共和国は独立を宣言する。 日本をはじめとする諸外国に独立を宣言したのだ。 島から通学のため上京していた学生のアパートは、唯一の大使館となる。 県や国からの使いの者も、パスポートを提示しなければ島へ渡ることは出来ない。 村長は大統領になり、お巡りさんが防衛庁長官になる。 独立を認めてくれる国も登場する。 独立は、結構簡単に出来た。

 しかし日本は黙っていない。 兵糧攻めを開始した。しかし、赤尾根古は食料の自給率が100%、 飲料水は無尽蔵、太陽光発電の施設まで持っていた。 多少の嫌がらせではびくともしない。 いよいよ本気になった日本は、自衛隊を導入し、武力行使にうって出ようとする。 さすがに自衛隊に対抗できる武力は持ち合わせない赤尾根古共和国。 大統領は一計を案じるのだった。

 大統領はアメリカと交渉を開始する。赤尾根古に眠る石油を切り札に。 さすがにアメリカが独立国と認めた国に、自衛隊が簡単に手出しは出来ない。 この交渉に全てがかかっているというところだ。 さて、どうなるのか……。

 監督の名前は見終わってから知ったのだが、あの堤幸彦だった。 「ケイゾク」や「トリック」のようなテイストがあるといえば、島に住む不思議ちゃん絡みの所だ。 海で大瀬利に体を洗って貰う少女。 彼女はシャーマンの様な人で、とっても不思議。 彼女に絡む部分が、やや不可解で堤監督的であるようにも思うが、 難解ではない。 言われなければ堤テイストを感じることはない作品だと思う。

 この作品で面白かったのは、以外に日本人はまじめだということだ。 例えば大使館(東京のアパート)に向かった日本人。 彼は、赤尾根古大使(とはいえ、大学生の若者だが)に治外法権を主張されると、 おずおずと引き下がる。 こういう姿が滑稽であり、閉塞の元凶なのかな、と思った。

 日本の政治がどうのこうのとお嘆きの貴兄に捧ぐ、おちゃらけた一本であった。 難しいことは抜きに、楽しんだら良い作品だ。


目次へ戻る