こんなん見たよ〜 わたしのグランパ 【映画】 〜
監督 東陽一 古麻呂歩王子様やお姫様ではないけれど、このお話はかなりメルヘンな感じがした。 殺人の罪で服役していた五代謙三、通称ゴダケンが出所するところから物語は始まる。 ゴダケンを演じるのは、菅原文太である。 着流しに雪駄履きの。 どう考えてもヤクザだと思った。 しかし、ゴダケンは組関係の人ではない。 なんでも、地上げに絡んで親友を殺され、怒りのあまりヤクザになぐり込みをかけた普通の人だそうだ。 そんな事情のためか、家を守っていた息子夫婦も、まったく普通に生活をしていた。 殺人犯を出した家といえば、世間から白い目で見られ、引越を余儀なくされるようなイメージがある。 だが、五代家は普通。 出所してきたゴダケンに対して、家の人も普通なら、近所も普通。 「まるで長い旅行から戻ったよう」というような台詞があるのだが、まさにそんな感じだ。 後ろ指を指される様なこともなく、腫れ物に触るような扱いを受けることもない。 不思議だ。 しかし、ゴダケンの孫娘、珠子だけはこの状況に乗り遅れてしまった。 まず、突如現れた祖父という存在、刑務所帰りという事、 そして何よりゴダケンの人柄に戸惑うのであった。 中学生の珠子は、いじめっ子に目を付けられている。 不良グループにゴダケンの前科を知られ、からかわれたりもする。 だが、ゴダケンの見え隠れする影響力によって、これらを乗り越えていくのだった。 そして、いじめっ子や不良たちも変貌を遂げる。 まるで魔法にかかったように。 ゴダケンは出所してきてから、ジャスミンというお店に通っていた。 ここで飲んだり食べたりするのだが、僕はそのお金の出所に疑問を持っていた。 ゴダケンは出所してきた日に、刑務所の中で稼いだお金を全て、嫁に渡してしまったのである。 よって、手持ちはゼロのはずだった。 だが、ジャスミンに通っている。 また、息子夫婦に旅行をプレゼントしたり、珠子にドレスを贈ったりもする。 この金の出所が問題なのであった。 実はゴダケンは、刑務所に行く前に組からお金を頂戴していたのである。 その存在を珠子にだけ告白するのだけれど、当のヤクザだって知らないはずがない。 ゴダケンの出所を心待ちにしていた組長、疋田は、早速ゴダケンに揺さぶりをかける。 しかし、ゴダケンが口を割るわけがない。 疋田は珠子の誘拐をたくらむ。 疋田のやり口は、ドロンボーかロケット団くらい間抜けなのだけれど、 これに立ち向かうゴダケンはなかなかのもの。 ジャスミンのマスター慎一(浅野忠信)という強力な助っ人を連れて、 速やかに珠子を奪還してしまうのだった。 いじめという問題をあっさり解決し、いじめっ子をまともにしてしまったゴダケン。 珠子にドレスを贈り、パーティーに連れていってくれたゴダケン。 ヤクザに拉致された珠子を見事に救い出したゴダケン。 それは、魔法使いであり王子様であり勇者である。 まさにファンタジー、メルヘンの世界だと思った。 すっかりゴダケンになついた珠子だが、2人はあっけなくお別れすることになる。 僕はこれが必要なエピソードなのか、どうかと思った。 話の最初に「囹圄」という言葉が出てくるのだが、これのせいであろう。 囹圄(れいぎょ)−ひとや。罪人を入れておく場所。牢獄− ゴダケンがいた刑務所はまさしくそれ。そしてゴダケンが旅立ったのもこれから逃れる為なのだろう。 このお話は筒井康隆原作だそうだ。 小説で読むとどんなものだろう。ちょっと興味がわいたので、機会があれば読んでみたいと思う。 それにしても、菅原文太がこんなに品の良いおじいちゃんになってしまったとは……。 まあ凄味はあるけれど。 なんだか時代の流れを感じた。 |